俺はやっと気付いた。
亡き親父の台詞
俺には繋がりのある人間がこの世に生きていたこと。
俺、自身がボールの血を持つものであったこと。
人間からボールになったことは偶然ではなく
必然なこと。
当時、あのときあの日に見た日韓ワールドカップは、今思えば
俺の潜在能力を駆り立てるものだった。
そんな回想をしてる束の間、
ドレアムが俺の所に近寄り
「状況が変わった。良くも悪くもお前に俺との繋がりが耳に入ればお前ら二人には、やらなければならない事を、告げられている。
そう、それはお前が力を手に入れ己の力量を図るためだけに殺めてしまった亡き親父からの伝言だ。そして俺たちは、もうこのスプチューバいゃ、この地から離れないと行けない。
それは、ローランドさんも分かっての事だ。
今すぐ出て行く支度をしろ。早く!!」
俺は急な出来事に動揺したが、ドレアムの言葉ば、今までの行動から考え間違っていないはずだとすぐに理解出来た。だが、世話になったこの店、ローランドから立ち去るには、少し早過ぎやしないか。
店内に僅かに残っているお客達は、俺とドレアムを先程とは、見る目が異なり白い視線を感じる。
同じく、ローランドも俺とドレアムに顔を向けず下を向いている。
「早くしろ、そのうち解る。俺とお前がここに居たら行けない理由が俺たちの身を案じてのことでもある。」
俺は、その言葉を最後にTHEクラブスプチューバを後にした。
ローランドには、深く頭を下げ敢えて言葉をかけずに。
「これから、お前が初めに向かったデスペラーダへ戻る。そこで俺とお前が今後しなければ行けないことを話す。
その前にお前に擬態化の技を教える」
と、ドレアムは言うやいなや
ハッ!!
人間の見た目から自らの身体をベースボール程の球体に擬態化させた。
「身体を包み込むようにイメージしながらあらゆる関節を中心に折り曲げろ。そして自分がなりたい球体を考えろ。」
そう言われるがまま
見様見真似で身体を丸めた。
ドレアムがベースボールなら俺は、、、
ゴルフボールを想像しよう。
ぐわぁぁあー!!!!
痛みを感じたが俺の体はゴルフ?ボール?
いや、テニスボールに変体した。
「どうやら慣れてない様子だな想像と違う球体になったな。まぁ良い。よし急ぐぞ」
俺の頭の中もこいつには知られてるってことなのか?
俺たち二人はボールに擬態し
デスペラーダへ向かった。