せいきまつなしゃべり

このブログは、社会から遮断された生活を送ってきたアウタサイダー達へ送る 厳しさや社会での生き方のノウハウを愚民である私がレクチャーする日記です。今日も明日も割り箸の一本でカレーライスを食べたいです。そんな生活が出来ているあなたはどうぞこのブログからは回れ右してください。肉体労働者、SNS皆無者、チーマー、カラーギャング、砂糖と塩の区別がつかない若者達へ送るレクイエムです。

異端児 1話

今日は待ちに待った

大運動会

もちろん、アンカーとして選出された俺は

徒競走で俊足をお披露目

 

各クラスの代表者は、スタートラインにお並び下さい。

 

毎年の面々

 

敵は我なり

 

俺はライバルなんて誰一人いない

 

己自身と競ってやる

 

と息巻いた。

 

位置についてーーーー)!!

 

よーーーー!!!いーーー!!!

 

どーーん!!!!!!

 

俺はこの百メートルに全力を注ぐ為

 

朝からバナナ

米そしてバナナ

そして緑の液体を腕っぷしにぶっ刺してきたんだ

 

それはもうドーピングでもなんでもない

毎朝の日課だ!!!

 

爆速をかました俺は、1番にゴールテープを胸で切れ

 

なかった。

 

頭一つ抜きん出てる

 

2組の工藤が

 

僅か鼻先ちょっとどけ

有利に

 

俺は2位となってしまった。

 

くどぅううううう!!!

 

そう、工藤は

今年の春に転向してきた

 

化け物級の足の速さをもってる事から

 

転向前の学校では

脚マッハ

と呼ばれていたことを

 

奇しくも今日

運動会終わりに友人から聞かされたのだ。

 

俺は、悔しくて悔しくて

 

ゴール付近で地面に座り込み

 

赤ん坊のイヤイヤ期みたく

やだぁやだぁと癇癪

 

そんなとき、憎き工藤が俺に

 

「走るときの手は、グーじゃなくてパーだよ」

と助言してきた。

 

俺の「はしり」に対する

数年もの熱さがこの言葉により

一瞬で冷めた。

 

何故なら過去も未来でも

 

俺は、走る時に手をピーンと伸ばし

パーにして走るやつを

 

きちが

 

変な奴

 

出来れば距離を置きたいタイプの人間だと

ずっと偏見を持っている。

 

理由はただただ「きしょい」からである。

 

何事にも形から入るタイプの俺からすると

グーにする作法がセオリー

 

パーにするタイプは、異宗派だと思っている。

 

工藤の助言を聞いたすぐに

俺は地面からムクッと立ち上がり

 

何事もなかったように

 

今までの情熱は

なんだったんだろうと言わんばかりに

身体についた校庭の砂を払いながら

 

教室へ戻っていった。

 

そして、黒板の本日の日直者を確認し

 

工藤と書いてあったから

 

工藤の名前を消して

 

異端児

と訂正しズボンのポケットに忍ばせた

メリケンサックを指に嵌め

黒板をストレートパンチした。

 

別に工藤が憎いとかではない。

 

手をパーにするのが何度も言うが

「きしょい」から

共感性羞恥

に当てはまるかな

そーゆうきもちでパンチャーしただけ。

 

終わりの会で

工藤は、目頭を熱くさせ

担任に

今日の悪いことをした人で俺を告発していた。

 

工藤の答弁はこうだ

 

「人を見た目で判断してはいけないと教わりましたが判断された挙げくバカにされました」

と。

 

担任は、俺に近づき

「工藤はみんなと同じ黄色い肌だ!」と

強烈ビンタをした。

 

女子の悲鳴

男子の失笑

 

俺のメリケ

 

俺の前歯が宙に舞ったとき

 

ふと目が冷めた。